影の日記

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イラン革命防衛隊 IRGC Islamic Revolutionary Guard Corps

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2019年12月27日イラク北部キルクーク米軍基地にロケット砲が撃ち込まれ、民間業者米国人一人が死亡
2019年12月29日カルロス・ゴーン日本脱出・逃亡しレバノン
2020年1月3日米軍無人機、バグダッド国際空港近くでイラン革命防衛隊コッズ部隊カセム・ソレイマニ司令官らを殺害

 米軍無人機MQ‐9リーパーによるイラン革命防衛隊「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官殺害で中東情勢がキナ臭くなってきましたね。イランの革命防衛隊は、常々中東情勢が緊張するたびに聞く有名なイランの軍隊組織ですが、ソレイマニ司令官については、今回の空爆で影も初めて知る存在でした。下記のリンクにあるようにイランがシーア派組織を使ってイランの周辺国イラク・シリア・イエメン等で影響力を行使できた背景にソレイマニ司令官が築き上げてきた各地の民兵組織の存在が重要なのですね。

jbpress.ismedia.jp

jp.reuters.com

www.reuters.com今回、米軍に指令を出したトランプ大統領は、幾つかあるオプションの中から難易度の高い作戦をとりましたが、作戦遂行よりもその後のイラン革命防衛隊の出方が重要になると思います。短絡的にはイラクに置ける米軍への攻撃が続くでしょうが、長期的には世界各地で米国関連組織や米国人に対する破壊工作が起きるように思います。

何かトランプ政権に感じるのは、ビル・クリントン政権時代を彷彿させる出来事が噴出していることです。大統領や周辺に纏わる嫌疑が雨後の筍ように出て来る陣容から弾劾裁判まで発展してしまう大統領自身の本質がビル・クリントンに何となく似ているのですよね。一方で米国経済は順調に推移している所も経済重視政策に表れています。クリントン政権と同じく手法は異なりますが、中国に対する経済政策(貿易政策)重視がトランプ政権の思惑に端的に表れています。そして一番の問題が米軍への軍事行動を示唆する場当たり指令のように思います。米国大統領は、米軍の最高指揮官なので大統領の指令は絶対で必ず実行されます。それが成功するか失敗するかは、米軍の行動次第なのですが、悲惨な結果を招くことがよくありますよね。第二次世界大戦と言うより日米太平洋戦争では悲惨な大敗を喫した日本ですが、その後の米軍が必ずしも成功しているとは思えません。朝鮮戦争は引き分け、ベトナム戦争は大敗、湾岸戦争は大勝・楽勝でしたがイラク戦争ではフセイン政権倒閣後のイラク統治に失敗し内戦勃発と内戦から発展したバグダティによるイスラム国を出現させてイランによるシーア派組織への影響力拡大を中東各地に伝播させてしまいました。イランのイスラム革命と故ホメイニー師の存在がイラン革命防衛隊を通じて中東各地にシーア派民兵組織ヒズボラ(元々はレバノンの反イスラエル組織として誕生。カルロス・ゴーンも実は日産のヒズボラだったかも)細胞を拡散しているのかもしれません。

リビア爆撃 Bombing of Libya 1986】

ロナルド・レーガン政権によるリビアカダフィ大佐(中東の狂犬)爆殺指令だったのですが、強運のカダフィは難を逃れたのでした。この作戦はエルドラド・キャニオン作戦(Operation El Dorado Canyon)と命名されてますが、米軍は空母を地中海に展開させ空母艦載機からトリポリカダフィ邸を空爆しました。この作戦の直接の切っ掛けは、西ベルリン(まだ東西冷戦中でした)のディスコで爆破事件が起こりアメリカ人に死傷者が出たことやヨーロッパであったテロ事件の背後にリビアの関与があるとアメリカが判断して決行されたのでした。このアメリカの判断が重要ですよね。アメリカに睨まれると「いきなり軍事攻撃」となってしまいます。九死に一生を得たカダフィも、その後2011年にチェニジアのジャスミン革命の影響からリビア内戦となりNATO空爆・米軍無人プレデター空爆を受けて反カガフィ勢力によって殺害されてしまいました。このような結末になる前にカダフィも核開発をしていた模様ですが、アメリカの経済制裁を受けて最終的に核開発を断念してアメリカと国交正常化しました。にも拘らず、欧米から支援されなくなるのは、長期に渡る独裁と非民主的統治が欧米の反感を買っていたと思われます。またリビアも石油輸出国で豊富な油田を持っていますが、カダフィが油田開発で欧米メジャーから強権的に国有化してしまった経緯もあり、国際経済資本から胡散臭く思われていたことも影響しているのかもしれません。油田と核開発は、今でも重要な経済問題な訳なのですね。

「1986 West Germany Discoteque Bombing and U.S. strike on Libya」

モガディシュの戦闘 The Battle of Mogadish 1993】

「We got a Blackhawk down」と言うブラックホーク・ヘリコプターからの交信記録で有名になったソマリアに於ける米軍デルタフォースによる作戦行動(ビル・クリントンが指令)でしたが、大失敗に終わり米軍戦闘員がソマリアの人々によって引廻しの刑にさらされた衝撃的映像によって米軍がソマリアから撤退する破目なった事件です。

「After Black Hawk Down」

民間軍事会社 PMC private military company】

 カルロス・ゴーンレバノンへの逃亡劇で話題となったのが、逃亡を手引きした連中がPMCと言われる民間軍事会社です。嘗てはフレデリック・フォーサイスの「戦争の犬たち」に出て来るような傭兵と言われる世界各国の軍人達が除隊後に紛争地域で雇われ軍人として軍事訓練したり、民間ボディーガードとしてセレブから依頼を受けて高収入を得ている現実があるのでしょう。特にブッシュ・ジュニアが引き起こしたイラク戦争で悪名を轟かせたブラックウォーターと言う民間軍事会社の創設者エリック・プリンス(元ネイビーシールズ)は、泥臭い傭兵からスマートPMCとしてきらびやかなイメージを醸し出していました。結局、民間軍事会社と言っても軍務を請け負えば、装備も軍人と同じになり、戦闘をアウトソーイングすると言う話になるわけです。良い悪いは別として、米軍によるイラク統治にあたってPMCの存在価値が上がった時期でもありました。

ソマリアの海賊もイギリスの民間軍事会社ハートセキュリティーが現地の民族に軍事訓練したら民族間の紛争統治よりお金が稼げる海賊にイノベーションを発見して職業としてしまった結果がソマリアの内戦に拍車を掛けたのかもしれません。何とかとハサミは使いようといいますが、教養を持たずに武器を手にすれば現代のモラルなど通用する筈がないですよね。紛争地域は現代版下克上の世界・戦国時代なのだから収拾がつかないと言えます。

Santa Esmeralda - Don't Let Me Be Misunderstood(悲しき願い)